余所者-よそもの-【 3 】



それからいくつか言葉を交わしたあと、潤と千景は浮かない顔のまま病院を出た。

抗争の後始末をするために。


千景は離れる際、ユキに向かってこう言った。


『ママを説得しろ』


薬抜きは地獄だ。

本人はもちろんのこと、傍で支える人間にとっても。

絶対に、行かせるな。

絶対に、手放すな。


……と。


千景は、タカというカナコの昔の男のことを知らない。

それでもカナコの目と表情を見て、かける言葉を失くしていた。


他人のことなんて放っておけ。

まして、自分を酷く傷つけた人間のことなんて。


……こんなの、とてもカナコに伝わる気がしない。

きっと、だから千景だってユキに託したんだろう。


カナコを説得する方法。

自分を差し置いてまで、他人を思いやることをやめさせる方法。


「……俺にだってわからない」


ユキの嘆きは、誰に聞こえることもなく。

浮かんで、消えた。