病室から離れ、待合室まで戻った三人。
潤と千景が三人掛けのソファに腰かけると、その前に立ったユキが口を開いた。
「状況は?」
「チカが多夜を追いかけてった後、残った野間がシトウを引かせた。『もう戦う意味がないから』って」
「そうか」
「俺以外、リンコやデック達は後始末をやってる」
潤はちらりとユキの表情を確かめてから、続けた。
「シトウは、落ちたようなモンだ」
シトウと、シトウ以外の者が起こした、大抗争。
最後、シトウは自ら引いた。
それが何を意味するのか。
あえて言葉にする必要もなかった。
なのに浮かない表情の二人。
潤は眉間に皺を寄せる。
「紫藤は?」
「紫藤は……闘える状態ですらなかった」
明かされた真相に。
潤の頭の中にずっと引っかかっていたものの正体が、うっすらと見えた気がした。
──『この戦いの本当の意味を理解したとき。それがあなた方の敗北』
──『理解できないまま事を終えることができれば、それがあなた方の勝利だ』
「シトウは落ちた。紫藤本人は倒す必要すらなかった。カナコちゃんも無事取り戻した」
「………」
「なあ。──俺らって、勝ったんだよな?」
潤の止まない胸騒ぎ。
ユキと千景は、口をつぐんだ。


