やがて到着した病院は、いつか。
ユキがカナコを連れ、出会った際に負っていた彼女の額の傷を縫合した──小さな外科病院。
受付を通り過ぎた先の待合室には、潤が一人、静かに座っていた。
「潤ちゃん」
潤はユキの呼びかけに振り返り、カナコの顔を見るなり「はあ……」と深い溜息を吐きながら、頭を下げた。
「カナコちゃん……よかった」
「サンコンは?」
「こっちも問題ねーよ。急所は外れてたらしい。臓器にも傷はないって。出血は多かったけど命に別状はなし」
それを聞いたカナコから力が抜ける。
ふら、とよろめいたカナコの身体を、ユキが後ろから抱き留めた。
カナコはユキに寄りかかったまま尋ねた。
「サンコンさんはどこに?」
「さっき処置が終わって、病室に移った。まだ意識が戻ってないから話せないけど、見に行く?」
カナコとユキと千景の三人は潤に連れられ、真っ白な部屋に入る。
ベッドの上で静かに眠るサンコン。
一脚の椅子にカナコが座った。
「サンコンさん……」
カナコは布団から出ているサンコンの手に、両手でそっと触れる。
あの時、自分から剥がしてしまった指先。
生きた温もりを確かめ続けるように、カナコはその手を包んだまま離さなかった。
「………」
しばらく動きそうにないカナコ。
先に潤とユキ、千景の三人が病室を出る。


