誰も、何も答えない。
ただ沈黙が流れた。
「………」
すると突然。
無言でその場に立ち上がったカナコに、視線が集まった。
「サンコンさん……どうなりましたか」
ユキが答える。
「病院に運んだって連絡があった」
「連れて行ってほしいです」
ユキがカナコの手を取り、出口に向かって歩き出す。
多夜の声が飛んでくる。
「……頼む!!」
カナコはゆっくりと振り返った。
その目にはもう、迷いがない。
「サンコンさんが、先」
サンコンを傷つけたのは多夜だ。
カナコにとって、とても許せないことだった。
「………」
多夜はもう、静かに送り出した。
ユキと千景はマンションを出てからも、その表情が緩むことはなかった。
終始無言なまま。
サンコンが運ばれたという病院へ、三人で向かった。


