「お前は紫藤のなんなの?」
「なんでもない」
「なんだよ、それ」
「私はずっと紫藤を見てきた。だから、生かしたいだけだ」
そう言って紫藤を見つめるアオイの目は、今にも泣き出しそうな程悲しげだった。
「今、コイツには生きる気力がない。意識が起きても飯を食わないし、動こうとしない」
「病院にぶち込めよ」
「何度も病院には連れて行った。今は医者をここに呼んで診せてる」
アオイはそう話すと、カナコへ視線を移した。
言いづらそうに一度目を逸らす。
「……何度も。ソイツの名前を呼ぶんだ」
とても申し訳なさそうな顔でもう一度カナコを見てから、謝るように顔を伏せた。
「頼む」
絞りだすような声を上げたのは、多夜だった。
ぽろぽろと目から涙を零しながら、切実に懇願した。
「治らなくていい。元に戻らなくていい」
「………」
「俺を止めてくれなくても、どんな怜でもいい」
「………」
「怜を、死なせたくない」


