「もう、女を傷つけない」
沈黙に、多夜の声が割って入る。
「女は無傷で返す。約束する。少しの間でいい、貸してくれ」
短い言葉を慌てて詰め込む多夜。
千景の返事には、呆れと怒りが滲んだ。
「はあ?」
「怜が、生きられるようになるまででいい」
「ふざけんな」
「………」
「生きられるように、って何」
「普通に。普通の人間として」
「『普通に』って、いつまで?」
「………」
「一度ここまで堕ちた人間が『普通に』暮らせるようになるまで。何ヵ月、何年かかると思ってる」
多夜をギ、と睨みつける千景。
今度はアオイが口を開いた。
「カナコの身の安全は保証させる」
「信用できるわけないだろ」
「もうカナコを閉じ込めさせない。私が見張る」
淡々と答えたアオイを、千景は訝しげに見つめる。


