余所者-よそもの-【 3 】



「千景」

「……なに」


瞳に紫藤を映したままの呼びかけ。

千景は身構えるように返事をした。


「獏さんって、まだオランダから帰ってないのかな」


その言葉に、千景の眉間に深い縦皺が刻まれる。


「何言ってんの?」

「………」

「そんな都合のいい話が、どこにある」


カナコがゆっくりと千景を振り返った。

千景はカナコの表情を見るなり、ハッと目を吊り上げて、声を荒げる。


「……やめろ!ママが気にする必要なんてない!今コイツが死にかけてんのは、自業自得だ!」

「………」

「こんなヤツ、放っておけ!見殺しにされても文句を言えないことを散々やってきた!」


自業自得。
放っておけ。

千景のその言葉は、更にカナコの中の記憶を掘り起こす。


──『なあ。不平等だと思わねぇか?』

不平等。

──『テメェで勝手にトチ狂ったくせして、これじゃまるで貧乏くじじゃねぇか』

貧乏くじ。


「………」

今、起きていることも。


同じ?