──『過去は捨てろ』 ──『あの男はもう、お前に何の関係もない』 紫藤はカナコに対して、これまで何度も捨てる選択を強いてきた。 ──『一生そうやって生きていくつもりか?』 囚われるな。 ──『全部まるごと捨てちまえ』 忘れろ。 ──『つまらねぇ道徳ごと、全部』 見放せ。 今の紫藤も、それを望むのだろうか。 俺のことなんて放っておけ。 お前に関係ない。 そう、言うのだろうか。 「………」 カナコはただ。 目の前の紫藤と、話がしたいと思った。