「……っ」 多夜にとって、カナコは紫藤の治療薬だ。 こんなに傷ついて、ボロボロで。 痛いことを『痛い』とさえ言えないコイツに。 どこまでも優しいコイツに。 また、他人の傷を押し付けようとしている。 「かぁこ。帰ろう」 「………」 返事がない。 「……かぁこ」 カナコは動かなかった。