「お前は、怜を治す」
「………」
「怜を、死なせるな」
「………」
「怜に──……」
──ドゴォ……、と音を立てて、多夜の身体が横へ吹っ飛んだ。
殴ったのは、ユキだった。
「……ふざけるな」
ユキは限界だった。
もう、我慢ならない。
「お前たちは、どれだけコイツを傷つければ気が済む……!!」
紫藤のこの姿を。
シトウの幹部にすら見せられない、この有様を。
ただ、カナコに見せるために。
そのためにシトウを捨ててまで、ここに連れてきた。
カナコにとって、この光景が。
何を意味するのかも知らずに。
──『彼が……シトウで死んだんです』
──『Z地区に迷い込んだ彼は、たった一人で死にました』
──『私のせいで死にました』
──『私は彼が死んでしまいそうだとわかっていたのに。見て見ぬふりをしました』
ユキの脳裏に。
泣けないカナコの懺悔がよぎる。


