余所者-よそもの-【 3 】



「起きろよ、怜」

揺すっても、紫藤は反応を示さない。


「カナコだ。連れてきた」


多夜はカナコの手首を握りなおし、紫藤の頬に無理やり触れさせた。

強張ったままのカナコの手が、紫藤の頬を擦り、歪める。


「ほら、生きてる」

「………」

「お前は、殺してない」


カナコの手の甲に、多夜の涙が零れた。


紫藤は何も言わない。

指先一つ、動かない。


涙で顔をぐしゃぐしゃにした多夜が、カナコに振り向いた。


「怜に、声をかけろ」

「………」

「怜に、触れろ」

「………」

「怜を、治せ」


カナコは呼吸を荒げた。

声にならないまま、ただ「はあ……、はあ……」と浅い息を繰り返す。