余所者-よそもの-【 3 】



「……ドラッグだろ」


静かな部屋に、千景の声がぽつりと浮かんだ。

ベッドに目を向けたまま、誰に言うでもなく続けた。


「少なくとも……僕がZ地区に戻ったときからだ。コイツはもう、狂ってた」


──『僕にはわかる。相手の目を見ればわかる』
──『アイツ、狂ってる』


「目が、コッチ側だった」

Z地区で、嫌というほど見てきた目。


「それも……かなり深い」


──『帰せない』
──『紫藤にだけは、ママを渡せない』


あのとき。
千景がカナコを攫い、アパートに閉じ込めたのは。

ドラッグに狂った紫藤から、遠ざけるためだった。


それでも、まさか。

……ここまで堕ちるとは。