余所者-よそもの-【 3 】



「………」

部屋の仕切りを超え、ベッドへと近づく。


と、と、と。

フローリングに打ち付ける踵の音だけが空間に響く。


ユキは男を静かに見下ろした。


「おい」

思わず、声をかけた。


布団のかかった胸は浅く上下を繰り返す。

呼吸はしている。

生きている。


それなのに、ユキが部屋に入っても、声をかけても。

男は、何一つ反応を返さない。


痩せていた。

頬は削げ、伸びた黒髪が顔にかかっている。



――紫藤 怜。



シトウの、紫藤。

この街の支配者。



かつて人を射貫くようだった力強い瞳は、どこにも焦点を結んでいない。

ただ、静かにベッドに横たわっている。



「………」

なぁ。

――俺たちは、一体。


何と闘っていたんだ?