床に座り込み、呆然としたまま動かないカナコ。
「かぁこ」
彼女は時間をかけて、ゆっくりと振り返った。
その表情に、ユキの眉間には力が込められた。
……何が、あった。
顔色を失っていた。
震えた唇は、何かを訴えようとしているが声にならない。
「……どうした」
ユキがそう声をかけると、カナコは言葉なく視線を元の場所に戻した。
座り込んだ先。
正面を、瞬きもせず見つめている。
ユキは静かにカナコの隣に立ち、背中にそっと手を当てた。
カナコの視線を辿る。
ベッドの上に、一人の男がいた。
ユキには一瞬、それが誰なのかわからなかった。


