――ガチャ。
静まり返った室内に、玄関扉の開く音がした。
「………」
「………」
アオイに案内され。
遅れて部屋へたどり着いた、ユキ。
アオイの背中を追って廊下を進む。
まず目に入ったのは、多夜だった。
壁に寄り掛かった多夜は、ひどい有様だ。
顔は腫れ、口元には乾いた血。
自分の右腕。
サンコンは、十分に奮闘したようだ。
次に、突っ立つ千景の姿が目に入った。
「チカ」
千景は、ユキの呼びかけに振り返らない。
ただ、何かを知らせるように足元まで視線を下げた。
千景の視線を辿れば、そこでやっとユキはカナコを見つけた。


