一方、その頃。
千景は前を走るバイクを、つかず離れずの距離で追跡していた。
途切れることなく、流れ続ける景色。
「……どこに行く気だ」
いつの間にか、シトウを抜け。
灯りが減り、住宅すら減っていく。
人里離れた、僻地。
やがて多夜は一軒の古いマンションの前で、バイクを止めた。
スタンドも立てず、捨てるようにバイクを地面に転がし。
カナコの手を引き、マンションの中へ消えていく。
千景はブレーキすらかけず、バイクから飛び降りた。
運転手不在のバイクはしばらく走り、正面の街路樹に衝突。
地面に横たわり、エンジンを唸らせ続けた。
千景は着地するなり地面を蹴り上げ、マンションへと急いだ。


