「野間」
カナコを肩に担ぎあげた多夜が上げた、片手。
野間は暗い顔を伏せたまま、バイクのキーを投げた。
カナコを追おうとした潤の身体を、野間が後ろから押さえ込む。
「クソッ!!離せッ!!」
カナコは、潤の姿が見えなくなる手前で、叫んだ。
「潤さんお願い……!サンコンさんを助けて……っ!!」
奥歯をギリギリと噛みしめた潤は、野間を振り払い、力いっぱい殴りつけた。
野間はもう抵抗しなかった。
……早くこの男を病院に連れて行かなければ。
野間もまた、潤と共にサンコンへ駆け寄り。
刺し傷を強い力で圧迫し、必死に止血を手伝い始めた。
潤はこの不可解な野間の行動を疑問視する余裕すらなく。
ただ、仲間に一報を入れることで精いっぱいだった。
「ごめん。カナコちゃん、連れて行かれた」


