余所者-よそもの-【 3 】



「……覚えて、ますか」


サンコンは胸の中のカナコにだけ聞こえる程度の小さな声で、話しだした。


「前に……バンくんが、あなたを傷つけたとき」


それはもう、ずいぶん前の話。

カナコをAnBarから追い出そうと企んだバンが、彼女にいじめに近い仕打ちをした時の話だった。


「私は、見て見ぬふりをしてしまいました」


カナコは首を僅かに横に振る。

カナコが身じろいだ僅かな隙間さえ埋めるように、サンコンは更に腕に力を込めた。


「……わからなかったんです。ユキが、何を求めているのか」

「やめて、動かないで……サンコンさん」

「私は……頭が、悪いから」


ずっと後悔していた。

あの時、自分はユキの期待を裏切った。


自分が馬鹿なばかりに、ユキを悲しませてしまった。