動かない潤を見切り、多夜は再びサンコンへ向き直る。 「おい。離せ」 「………」 「寄こせ」 「………」 「女」 「………」 サンコンはじっと耐えていた。 どれだけ殴られようと、どれだけ血を流そうと。 絶対にこの手は離さない。 岩のように頑丈そうな背中が、そう言っている。 「サンコンさん……お願い」 「………」 「もう、離してっ」 胸の中のカナコが暴れだす。 それでもサンコンは、絶対に――…… 「離しません」 カナコをこの腕から、手放さない。