呆然とする潤のすぐそばから、怒号が発せられる。
「――多夜さァァん!!話が違うッ!!!!」
野間は額に太い青筋を浮かべ、激怒していた。
「黙れ、野間」
「言ったでしょうがッ!!ここで死人を出したら全部終わる!アンタの望みは叶わない!!」
「わかってる」
「わかってない!!よりによってカナコさんの目の前でっ!なんてことしてくれたんだ……っ!」
「急所は外した」
ぬるり、と多夜がこちらに振り返る。
「これくらいじゃ、死なない」
無表情のまま、そう言ったかと思えば。
再びサンコンに目を落とし。
「やめて……やめてよっ」
肩、背中、腕。
カナコを囲った身体を崩そうと、サンコンに何度も、何度も蹴りを叩き込む。
「……やめろ」
潤は野間から離れ、多夜の横っ面を殴りつけた。
多夜は避けなかった。
ただ、邪魔をするなと潤を殴り返した。
「男」
「………」
「コイツを今すぐ病院に連れていけ」
その言葉に、潤は呆然とした。
なんなんだ……コイツ。
自分で刺しておきながら、病院に連れて行け、だと?


