「よそ見していられるほど、余裕あるっすか?」
「……ッ!!」
いけない。
自分の闘いに集中しなくては。
潤は野間と再び殴り合った。
背後にはカナコ。
とても不安そうな顔で、二つの戦闘を見守っていた。
殴る、蹴る。
殴打の応酬。
戦闘開始から、そろそろ五分ってところか。
「そろそろ撤退を考えたらどうだ?」
「………」
野間がここに入った時、ヤツは『10分』という目安を立てていた。
その読みは正しかった。
潤のイヤホンから聞こえてくる表の戦況。
千景のいう『袋のネズミ』状態の完成はもう間近。
コイツらはもう逃げられない。
表情に焦りの滲む野間の拳を、――パシ、と受け止めた。
「……ホント。どうしましょうかね」
「もう諦めろ」


