余所者-よそもの-【 3 】




ひゅ、と音を立てた潤の右ストレートが、野間の左頬にめり込む。

吹っ飛んだ野間は、店内のテーブルやソファーを巻き込みながら派手に倒れた。


「いてて……」

「お前、幹部にしては弱くね?」


潤は殴った手をぷらぷらと振ってほぐしながら野間に近づく。


「病み上がりなモンで」

「悪いな、手加減してやれなくて」

「まぁ、慣れっこっすよ。それに元々僕は肉体派じゃないですし」


ニヤリと口端を釣り上げた野間。

潤は相手の狙いをすぐさま理解した。


「カナコちゃん、俺からもうちょい離れろ」


顔面にいくつか傷をつくった潤が、カナコの肩をそっと押し、後ろへ下がらせた。


「どうもやり辛い。アンタとは相性が悪いなぁ」


野間の目的は、この喧嘩に勝つことじゃない。

コイツはずっと隙を窺っている。


「お前の思うようにはやらせねぇよ?」


殴られ、熱を持ちだした左頬の腫れを確かめるように触れる。

潤は野間が体勢を整えている間に、素早く隣に視線を動かした。


――ドォン……!!

こちらとは比べ物にならないほど、けたたましく鈍い衝撃音。


潤のすぐ隣では、サンコンと多夜が激しくぶつかっている。

サンコンが押されている様子はない。


「ダァァァラァアア……!!」

むしろ、サンコンが押している。


いける。

潤はそう思った。