「つまるところの話」
「………」
「この戦いの本当の意味を理解したとき。それがあなた方の敗北」
「………」
「理解できないまま事を終えることができれば、それがあなた方の勝利だ」
潤は眉をしかめた。
だって、おかしい。
真相を知ることが、俺たちの敗北。
真相を知らないことが、俺たちの勝利。
普通、逆だ。
――ドォン、と重たい音がフロアに鳴り響く。
隣では、サンコンと多夜の交戦が始まっていた。
構えを取った野間に、潤も構えた。
「俺、ホストだからさ。顔面はナシな」
「では、僕は右目がないので、右側は狙わないでもらえますか?」
そうして二人が同時に打ち込んだ、第一撃は。
「………」
「………」
潤の拳は、野間の右わき腹へ。
野間の拳は、潤の顔面へ。
「「嘘吐き」」
互いに毒を吐き捨て。
それぞれに譲れないものを背負った男たちの死闘が、始まった。


