野間のその言葉に、多夜が構えた。
野間は潤の前に立ち、同じく構える。
「野間くんは、また私をシドのところに連れて行くの?」
カナコは尋ねた。
だって、野間は紫藤の元から逃してくれた。
それが再びカナコを奪おうと言うのだから、彼は一体何がしたいのかわからない。
「……僕らはもう、シトウを捨てました」
その言葉に、潤が反応する。
「捨てた?」
何を、言ってる?
「考えもしないっすよね。シトウが、シトウを捨てるだなんて」
「じゃあ、お前たちの目的はなんだ」
「カナコさんです」
「シトウを捨ててまで?」
「………」
「なんでだ」
「野間」
多夜が静かに口を挟んだ。
「しゃべりすぎだ」
「すません。シャバが久しぶりなもんで、つい」
野間は悪びれた様子もなく、後ろ頭を掻いた。


