カナコは悲しくて、泣き出したくなった。
野間が生きていたことは嬉しい。
だけど。
「ああ、これっすか?」
野間が右目に触れる。
瞼の上を大きく走る、深い傷跡。
そこに、瞳はない。
野間の右目は、潰れていた。
「野間くんっごめん……ごめんね……っ」
野間はカナコから傷跡を隠すように、右手でその場所を覆った。
右手中指のタトゥが、なくなった瞳の代わりに彼女を見つめているようだった。
「やめてください。これでも自分じゃ気に入ってるんです」
「………」
「タトゥみたいなもんです」
そういって、野間は物悲しそうに笑う。
「……さて。多夜さん」
「………」
「表はもって10分す」


