微かに聞こえた、ユキの舌打ち。
それに反応したのは、渦中のAnBar内にいる二人。
潤と、サンコン。
『万が一……カナコちゃんがここから連れ出されたら。だと?』
『ユキさん。それは聞き捨てなりません』
まるで二人がいないもののようにして繰り広げられていた会話に、揃って怒った。
『ユキ、心配すんな』
『カナコさんは、必ず守ります』
その言葉に、ユキがやっと落ち着きを取り戻したように息を吐く。
『……わかった。頼む』
まとまりのついた話。
途端。
千景の全身から、ぶわ、と殺気が立った。
お前に言われなくたって。
絶対に、ママは奪わせない――……。
「……お前ら、死ぬ気でかかれ」
千景は高く飛びあがり、複数の脳天をまとめてなぎ払った。
Z地区の面々は、ぬるりと振り返った千景の表情を目にし、全身にゾワゾワッと鳥肌を立てた。
……地下の売人が、ブチ切れてる。
「役に立たないおもちゃは……敵諸共、お払い箱逝きだ」
その一言に、Z地区は一気に統率を増し。
次々と、シトウの構成員を片付けていくのだった。


