「……クソッ!!」
野間は千景の気を引くための、囮(オトリ)だった。
すぐさま千景は動こうとした。
しかし、そうはいかなかった。
わらわらと、細道に湧き出るシトウの構成員。
シトウ方向からは多少。
それよりもシトウと逆方向からが多い。
野間に殴りかかろうとすれば、構成員がまるで捨て身になって千景の前に踊り出た。
Z地区の人間たちも急いで応戦するが、突然の出来事に対応が追い付いていない。
「じゃあ。何はともあれ」
野間がそう切り出した頃には、彼はもうAnBarの扉に手をかけていた。
「ちょっと、お邪魔します」
そう言って、野間がAnBar店内に吸い込まれていった。


