「……お前」
千景はバイクに跨ったその顔を確認するなり、目を見開いた。
「お久しぶりっす」
「なんで、お前が……」
バイクで防衛網を突破してきたのは、シトウの幹部。
シトウの眼。
――野間。
「シトウを裏切ったんじゃなかったのか」
「裏切る?僕がいつそんなこと言いました?」
「………」
「僕はあなた方の肩は持たない。そう伝えたはずです」
「………」
「抗争することがあれば、迷わずシトウ側に立って闘う、とも」
そこまで話してから野間は「ん?」と何か引っかかったように首を傾げた。
「あ。これ伝えたの瑞生さんだったか」
すっとぼけた様子の野間を、千景が睨みつけた。


