余所者-よそもの-【 3 】



流れ込んだ人の多さ。

空いた場所を埋めるため、人が次々と動いていく。


それは波のように、一定の速度で。

一定の方向へ。



「………」

――その流れを。

先ほどからずっと、視ている男がいた。



「強い。とても勝てそうにないなぁ」

人垣の中心を路地の隅から眺めて、ぽつりと嘆く。


「……ま。いいんすけど」


――ブオンッ!!


一気に吹かしたエンジン。

混乱の中に生まれた隙間を縫うようにして、一台のバイクが駆け抜ける。


猛スピードのバイクが、AnBarに続く細道へ滑り込んだ。


リンコは目の前の幹部に阻まれ、駆け抜けたバイクに気付かない。

しかし、異変を察知した仲間がすぐさま通話で知らせを送る。


『一台のバイクが、地下の売人の方へ向かいました……!!』


「うん。もう見えてるよ」


待ち構える、千景。


車体を横に滑らせるように急制動をかけたバイク。

――ズザザザザ、とタイヤがアスファルトを激しく引っ掻く音を立てながら、白煙を上げる。


ゴムの焦げた匂いを立てたバイクが、千景の前に停車した。