一方、その頃。
――シトウのとある高層ビルの屋上。
「……さすが喧嘩屋。カンがいい」
そこには。
双眼鏡を片目で覗きながら笑う、一人の男がいた。
「そっちで大正解。アンタにAnBarに行かれてたら、こうはならなかった」
双眼鏡を僅かにずらす。
人が大きく流れている。
前線へ。
空いた場所を埋めるように、また別の人間が動いていく。
「穴なんかないって思ってたけど。おかげで――」
視線の先。
AnBarまで続く、人の流れ。
「やっと、視えた」
投げ捨てられた双眼鏡が、ガシャン……と音を立てた。
「――カナコさんまでのルート」
屋上を駆け降り、大型バイクに跨る。
捻り上げたアクセルグリップ。
――ブオンッ!!とエンジン音を吹かせば、右手中指の目玉のタトゥが妖しく揺れた。
「そろそろっすね」


