「紫藤は、どこだ」
転がった喧嘩屋に、ユキの冷たい声が降りかかった。
「知らね」
「お前、シトウの幹部だろ」
「知らねぇもんは知らねぇ。俺も探してんだよ」
疑いの目を投げるユキ。
喧嘩屋は構わず続ける。
「『AnBarを潰せ』」
「……なんだと?」
「もし。俺がここじゃなく、AnBarに攻めてたらどうなってた?」
「結果は同じだ」
「そうじゃねぇ」
喧嘩屋は今回独断で動いた。
だって、多夜が嫌い。
「俺がこっちに出張るのと、AnBarで暴れるのと。――どっちがお前にとって嫌だったよ」
「………」
ユキは答えない。
なので。
喧嘩屋はカンで、沈黙の中身はきっと後者だろうと判断した。
……選択を、誤った。
「お前らが攻め込んでくる直前、一つ指示があった。AnBarを潰せってな」
「誰からだ」
「多夜」


