そうこうしている内。
ユキと喧嘩屋の勝敗がついた。
「お前……キッショ……」
地面に大の字になって転がった喧嘩屋。
彼は未だに信じられない。
自分がたったの一発も食らわせられなかっただなんて。
最初から最後まで全部、拳をかわされた。
何が起きたのか理解できない。
なぜ自分が地面に転がっていて、瑞生とかいうこの男が立っているのかも。
「………」
いや。
これまでいろんなヤツと拳を交わしてきた。
拳を交わせば相手の人となりがわかる、なんてクサいことを言うつもりはない。
ただ。
コイツだって、人の上に立つ側の人間なんだろう。
不思議と敗北が気持ちいい。
こんなん、いつぶりだっけな。
紫藤さん以来かな。


