――その穏やかな時間とは裏腹に。
『ユキさん!また増援です!』
イヤホンから響いた声に、ユキは目の前の男を殴り飛ばした。
「見ればわかる」
シトウのメインストリートでは、先ほどとは比べ物にならないほどの人数が溢れ始めていた。
「デック。そっちはどうだ」
『増えてますねぇ。さすがに起きましたね、シトウも』
その返答を受けた直後だった。
ユキの回りを固めていた人垣が、少しずつ割れ始めていることに気が付く。
外側の味方がやられている。
誰か……手練れが入ってきたな。
『そろそろ、シトウの幹部が出てきてもおかしくはない頃合いじゃないでしょうかぁ』
「………」
『シトウの幹部は全部で五人。多夜と野間の他、後は三人ですがぁ』
「………」
『一番厄介なのはぁ、喧嘩屋の男ぉ』
――バキィ……!!
ユキの手前にいた露天街の人間が、大きく吹っ飛んだ。
『……俺とユキさん側と、どっちに出るかなぁ』
周囲の味方が、次々と投げられていく。
「こっちだな」
――大柄の男がユキの前に姿を現した。


