余所者-よそもの-【 3 】



――AnBarの中では。


「退屈です……」

「退屈なのがいいことなんだよ」


サンコンが暇を持て余していた。


「前回もそうでしたが、どうして私は前線ではないのですか?」

「お前なぁ。それ何ッべん説明させる?」

「ユキと交代がよかったです」


自分の役割が不服だと口を尖らせるサンコンに、潤は呆れる。

イヤホンから聞こえる騒動に血が騒いでいるようだ。


「……潤さん」


潤はカナコに視線を移した。

ソファに掛けた彼女は、祈るように手を合わせながら不安げな表情を浮かべている。


「みんなは無事ですか?」

「全然無事だよ」

「よかった……」


ホッと胸をなでおろしたカナコ。


サンコンと潤にも、イヤホン越しに戦況は逐一伝わっている。

この場で戦況がわからないのは、カナコだけ。

カナコは通話に参加していない。


理由は明白で、戦闘員ではないから。

潤は抗争前のユキとカナコのひと悶着を思い出して、密かに笑った。


――『ユキさん。私もグループ通話参加したいです』

――『ダメ。お前が通話を聞いてどうする』

――『……私だけ仲間外れ』


潤は思う。

サンコン程ではないが、カナコだって自分の置かれた役割の重要性を理解していない。


ただここにいて、俺たちに守られていることが一番大事なのに。


なぜ、ユキが。

ここにサンコンと俺を残したのか。

更に、千景までも表に配置し、戦力の要をここに固めたか。


「……。カナコちゃん、なんか飲もうぜ」

「私は大丈夫です」

「そう言わず。ウーロン茶でいい?」

「でも、みんなが闘ってるのに。私だけ……」

「いいんだよ。それが一番」


静かなAnBar。

潤はお茶を三つ用意して、テーブルに置いた。


ソワソワと落ち着かないカナコの向かいに腰掛け、いつも通りたわいもない会話を始めたのだった。