余所者-よそもの-【 3 】



「リンコ」

『こっちも問題ないわ。アンタは前だけ見てなさい』

余裕のある声がイヤホン越しに響いた。


――リンコ・バン+龍翔鳳鱗から成る、中間部隊。

彼らは、ユキ達前線部隊とAnBarまでを繋ぐ位置を広く陣取っていた。


ユキ達がシトウ深部へ進めば進むほど、その背後を埋める。

シトウがAnBarを目指せば、即座に守りへ転じる。


前線とAnBarを繋ぐ、攻守の要。


『臨機応変にやるわ。動くときは一声頂戴』

「ああ」

『チカちゃん』


自分の役割を十二分に理解しているリンコが、声を千景に渡す。


『ママは無事』


即座に答えた千景に、ユキが返す。


「……まだ何も聞いてない」

『それしかないだろ』


千景は車一台通るのがやっとのAnBar前の細道を陣取っていた。

そこにはデックの部隊と切り離した、Z地区の一部の人間を残している。


『まだ敵一人流れ込んできてないよ。ひとまず奇襲は大成功だね』


その言葉を最後に、各持ち場それぞれが闘いに集中した。


AnBar前はとても静かだ。


シトウからここまで。

何十にも防衛線を張った先にある、この場所。


「とっとと出て来い。……紫藤」


AnBarを背に、千景は静かな細道の先を見据える。

イヤホン越しには、遠く離れた抗争の音が響き続けていた。