「………」
喧嘩か?
にしても、人数がやけに膨らんでいる。
それに……何カ所だ。
前も後ろも。
同時多発的に喧嘩が起きてる?
さっきまで俺は普通に歩いていた。
いつの間に?
すると後ろから肩を掴まれ、振り返った。
ものすごい形相をした部下が、声を詰まらせながら叫ぶように話した。
「抗争です!!」
「はあ?どこから……」
「露天街っ」
「んなもん、とっとと捻り潰せ」
「っだけじゃなくて……、Z地区も」
「………」
「それに、よくわからない勢力も混ざってるみたいで!」
「なんだそれ、もっとまともな情報を……」
気が動転している。
部下が。
いや、俺も。
「とにかく、人数が多い!!こちらも指揮をとらなきゃマズイです!」
「………」
おいおいおい。
多夜……てめぇ、まじでいい加減にしろよ。
報告を聞きながら、改めてシトウの街を見渡した。
どこから沸いて出たのか、瞬く間に膨大な人並が街へと雪崩れ込んでくる。
「………」
前も。
後ろも。
シトウの街全体が、敵で溢れていく。
こんなもん、露天街の外れを潰すどころか……
――潰されるのは、こっちじゃねぇのか?


