俺はとうとう紫藤さんに許可を仰いだ。
『アイツ、もう殺していいですか』
そこで、ついに紫藤さんが出張(デバ)った。
紫藤さんは数に頼らず、たった一人で多夜の前に立ち。
俺なんかよりも容赦なく多夜をボコボコにした。
『もう立つな』と思いながら殴っていた俺とは違い。
紫藤さんは血まみれの多夜に、何度も『立て』と言った。
立たせては、また殴る。
やがて多夜がピクリとも動かなくなると、意識があるかもわからないソイツに言いつけた。
「『殺してぇ』まだこの衝動が湧くようなら、次から俺のトコに来い」
「………」
「俺がお前を殺してやる」
この日から。
多夜が街で暴れることはなくなった。
その代わり、多夜は紫藤さんの前に現れるようになった。
丈夫な男だった。
どれだけ壊されても、身体を治しては紫藤さんの前に立つ。
無言で、無表情で。
多夜も多夜なら、毎度相手をする紫藤さんも理解不能だった。
どっちも、気味が悪い。


