思えば――……
多夜がシトウに余所者として街に紛れ込んだときから、そうだ。
シトウ近くのドデカイ刑務所。
多夜は出所後、すぐにシトウに流れてきた。
出所してシトウで仕切り直す奴は、珍しくない。
行き場のないヤツほど、まずここを目指す。
それでも、多夜は群を抜いて目立っていた。
『頭のおかしな余所者が街で暴れている』
多夜のそんな話を、ほとんど毎日、至る所で耳にするほど。
ヤツはまるで破壊人形だった。
手当たり次第、街の人間を殺しにかかってくる。
当然、シトウも黙ってない。
たった一人の多夜を数十人で囲み、動けなくなるまで追い詰める。
当時から喧嘩屋だった俺も、何度もコイツをぶっ叩いた。
最初は半殺し。
次も半殺し。
それでも止まらないので、三分の二程度殺して。
次は五分の四程度殺してやった。
それでも。
多夜は身体が回復すると、また懲りもせず街に現れた。
どれだけ痛めつけられても、表情一つ変えず。
ただ一心不乱に暴れ狂うその姿は『もう自分を殺してくれ』、そう叫んでいるように見えた。


