余所者-よそもの-【 3 】



ああ、むしゃくしゃする。


――バキッ。

俺は扉の前で待機していた部下を、一発殴った。

なんで殴った?って具合の顔を見下ろしながら、苛立ちは未だ冷めない。


街を歩きながら、ふう、ふう、と粗い息を整える。


紫藤さんの所在と、野間の行方。

俺の他の幹部たちも、誰も知らない。


そうなると後はもう、多夜しかいないのに。


「クソが……」


シトウの幹部とはいえ、誰もが四六時中紫藤さんの側にいるわけじゃない。

俺たちにはそれぞれ持ち場がある。

俺は喧嘩場を仕切っているし、金周りを仕切っているヤツは街の商売を回す。


紫藤さんにべったり張り付いてる幹部なんて、多夜くらいのもんだ。


つまりアイツは紫藤さんの側近であり、紫藤さんの行方を知る最後の手がかり。

それが狂ったように『女を探せ』としか言わないんだから、もう絶望的な状況だ。


――多夜。

何を考えているかわからない、不気味な男。

いや、ただの異常者。


昔からそうだ。

俺はシトウの幹部の中で、紫藤さんとの付き合いが一番長い。


紫藤さんが『多夜を幹部に入れる』と言ったとき、俺は紫藤さんに歯向かった。

今にして思えば、俺が紫藤さんに逆らったのは、あれが最初で最後。


『どうしてこんなキチガイを』

『シトウに入れるだけならまだしも、幹部はありえない』


そんなことを何度も進言したが、異論を認めちゃくれなかった。

なんでか紫藤さんは、多夜のことだけは放っておかない。