余所者-よそもの-【 3 】



「………」

俺の怒声にも表情を変えない目の前の男。

嚙みしめた奥歯を軋ませ、俺は恐ろしい疑いをとうとう口から零した。


「まさか紫藤さん、死んだんじゃ――………」


すると、脇腹に衝撃が走る。

「……グッあ……ッ」


ゲホゲホと、音のおかしな咳が出る。

多夜の蹴りを横腹に食らった。


「なめんじゃねぇ!!」


俺は多夜に飛びかかった。

チェアをなぎ倒しながら、拳を振りかぶる。


目の前の冷淡な顔を、俺の拳で思いっきり歪めてやった。


頬は歪んでも、コイツの表情は崩れない。

それが気色悪くて、気色悪くて、仕方がない。


覆いかぶさりながら、顔面を何発か殴りつけたところで。

いつの間にか胴体の隙間に滑り込んでいた多夜の足が、俺の顎先を真下からつき上げてきた。


後方に吹っ飛ぶ身体。

ゆっくり立ち上がった多夜が、冷めきった瞳で俺を見下ろす。


「怜は」

「………」

「死なない」


「だったらッ……!!」


だったらどこにいるのか、吐け。

しかし、多夜の意志は変わらない。


「女を、回収しろ」


……ふざけるな。

俺は血の混じった唾を吐き捨てた。


この期に及んで、まだ女だと?

馬鹿じゃないのか。

呆れて物も言えない。


俺は立ち上がり、出口の戸に手をかけた。


「もう付き合いきれない。俺の部下は動かさない」


最後にそう伝え、Re:bidoを後にした。