檻の外へー極道なんて、大嫌いー

ピンポーン。
静かな部屋に、無機質なインターフォンの音が響き渡った。
俺の背筋に、嫌な汗がツーッと伝う。モニターを確認しなくても、誰が来たのか直感で分かったからだ。
恐る恐るリビングのモニターを覗き込むと、そこには案の定、スーツ姿の若と、その後ろに控える大樹の兄貴が立っていた。
(……居留守なんて絶対に使えねぇ)
この裏社会のバケモノ二人を相手に、「開けられない鍵」や「居留守」という概念は存在しない。俺がここで開けるのを渋れば、若は躊躇いもなくピッキングで鍵穴をこじ開け、この間取り付けた電子ロックの暗証番号も推理で特定して解除し、ズカズカと上がり込んでくるだろう。
俺は諦めて玄関へ向かい、大人しくロックを解除して扉を開けた。
「お、お疲れ様です……若、大樹の兄貴……」
「開けるのが遅ぇ」
短く舌打ちをして部屋に入ってきた若の殺気に、俺は思わず肩をビクッとすくめる。
その後ろから入ってきた大樹の兄貴は、なぜか両手に有名デパートのロゴが入った紙袋を大量に抱え込んでいた。
「玲美はどこだ?」
靴を脱ぐなり、若は鋭い視線で部屋中をギロリと見回し、地を這うような低い声で俺に尋ねてきた。