俺は大きく深呼吸をし、「これは単なる任務、これは単なる介抱だ」と脳内で念仏のように唱えながら、濡れタオルで彼女の身体の汚れを拭き取っていった。
(……見ちゃダメだ。絶対に見るな、俺の馬鹿野郎……!)
昔から好きで好きでたまらない幼馴染の、無防備すぎる姿。
極力目を細め、視線を逸らしながら、ほとんど手探り状態で血の汚れを落としていく。どうにかこうにか薄っぺらいシルクのナイトガウンに着替えさせ終えた頃には、冷房の効いた部屋にいるはずの俺の全身から、滝のような冷や汗が吹き出していた。
とりあえず彼女をベッドに落ち着かせ、日が登ってから、俺はリビングに戻ってスマホを取り出した。
向かった先は、飛龍の総長・剛田の連絡先だ。
『おっ、晴樹! どうした、そろそろ倉庫来るか?』
「悪い、総長。今日は俺と玲美、倉庫行けねぇわ。玲美が熱出してぶっ倒れちまって」
『はぁッ!? 姫様が倒れた!? マジかよ、おい佐伯! 救急車だ! いや、俺が今すぐポカリとゼリーと栄養ドリンクをありったけ買って看病に……!!』
「バカ、来なくていい! 移るから大人しくしてろ。……じゃあな、また連絡する」
電話の向こうで大騒ぎし始めた剛田を強制的にシャットアウトして、通話を切る。相変わらず大袈裟な野郎だが、あの溺愛っぷりに今は少しだけ救われた気がした。
ソファに座り込み、そのままうたた寝をしてしまったらしい。
「……んっ……」
微かな声にハッと目を覚ますと、時刻はすでに正午を回っていた。
慌てて寝室を覗き込むと、ベッドの上で玲美がゆっくりと重い瞼を開けているところだった。
「玲美! 気がついたか。無理すんな、お前あの後ぶっ倒れたんだぞ」
「……晴樹……? 私……」
玲美が熱で潤んだ瞳で俺を見上げ、何かを言いかけた、その時だった。
(……見ちゃダメだ。絶対に見るな、俺の馬鹿野郎……!)
昔から好きで好きでたまらない幼馴染の、無防備すぎる姿。
極力目を細め、視線を逸らしながら、ほとんど手探り状態で血の汚れを落としていく。どうにかこうにか薄っぺらいシルクのナイトガウンに着替えさせ終えた頃には、冷房の効いた部屋にいるはずの俺の全身から、滝のような冷や汗が吹き出していた。
とりあえず彼女をベッドに落ち着かせ、日が登ってから、俺はリビングに戻ってスマホを取り出した。
向かった先は、飛龍の総長・剛田の連絡先だ。
『おっ、晴樹! どうした、そろそろ倉庫来るか?』
「悪い、総長。今日は俺と玲美、倉庫行けねぇわ。玲美が熱出してぶっ倒れちまって」
『はぁッ!? 姫様が倒れた!? マジかよ、おい佐伯! 救急車だ! いや、俺が今すぐポカリとゼリーと栄養ドリンクをありったけ買って看病に……!!』
「バカ、来なくていい! 移るから大人しくしてろ。……じゃあな、また連絡する」
電話の向こうで大騒ぎし始めた剛田を強制的にシャットアウトして、通話を切る。相変わらず大袈裟な野郎だが、あの溺愛っぷりに今は少しだけ救われた気がした。
ソファに座り込み、そのままうたた寝をしてしまったらしい。
「……んっ……」
微かな声にハッと目を覚ますと、時刻はすでに正午を回っていた。
慌てて寝室を覗き込むと、ベッドの上で玲美がゆっくりと重い瞼を開けているところだった。
「玲美! 気がついたか。無理すんな、お前あの後ぶっ倒れたんだぞ」
「……晴樹……? 私……」
玲美が熱で潤んだ瞳で俺を見上げ、何かを言いかけた、その時だった。

