檻の外へー極道なんて、大嫌いー

最初に体が悲鳴を上げたのは、当然のごとく玲美の方だった。
夏休みに入って、ちょうど一週間が経った日の明け方。
俺たちはいつものように、組のシマで調子に乗っていた半グレ集団のアジトを一つ潰し終えたところだった。鉄パイプと拳で三十人ほどを血の海に沈め、返り血と汗に塗れた息を吐きながら、単車を停めてある路地裏へと歩いていた時のことだ。
「……はぁ、はぁ……」
俺の少し前を歩いていた玲美の足取りが、ふらりと不自然に揺れた。
「おい、玲美? 大丈夫か……?」
俺が声をかけた、その直後だった。
プツン、と糸が切れた操り人形のように、玲美の身体がふらつき、そのまま冷たいアスファルトに向かってドサリと崩れ落ちたのだ。
「玲美ッ!!」
心臓が嫌な音を立てて跳ね上がり、俺は弾かれたように駆け寄った。
地面に倒れ伏した小さな身体を、慌てて抱き起こす。
「おい、しっかりしろ! 玲美! 目ェ開けろ!」
焦って頬を叩きながら声をかけるが、玲美の目は固く閉じられたままで、苦しそうに浅い呼吸を繰り返しているだけだった。
俺は血の気が引くのを感じた。
抱き寄せた腕から、服越しでもはっきりとわかる異常な熱が伝わってきたのだ。
尋常じゃない高熱。限界を超えて酷使された身体が、とうとう強制終了のサインを出して炎のように熱く燃えていた。