檻の外へー極道なんて、大嫌いー

私が少し高めの声を作って鋭く怒鳴ると、樹たちはビクッと肩を震わせ、「あ、あざっした!!」と深く頭を下げて、慌てて大通りの方へと走り去っていった。
(……ふぅ、危なかった)
彼らの背中が見えなくなり、私は胸を撫で下ろして深い安堵の息を吐いた。
正体もバレず、飛龍のメンバーも無事に逃がすことができた。完璧なリカバーだ。そう思っていた。
――そう、この男たちの足音が聞こえてくるまでは。

カツン、カツン。

路地の奥から、静寂を切り裂くような硬い革靴の足音が響いてきた。
その一定のリズムと、そこから放たれる凍りつくような威圧感に、私の心臓がヒュッと跳ね上がる。
「……若、大樹の兄貴……」
晴樹が青ざめた声で呟く。
暗がりから姿を現したのは、完璧に仕立てられたスーツを着こなす小鳥遊魁と、煙草を咥えた東條大樹だった。なぜこの二人が、こんな末端の掃除の現場に直接出向いてくるのか。
魁は、地面に転がる半グレどもを冷たい目で一瞥した後、路地の出口――ついさっき飛龍のメンバーが逃げていった方向へと視線を向けた。