檻の外へー極道なんて、大嫌いー

「……お前ら、覚悟しろよ!!」
樹が拳を握り締め、半グレのリーダー格に飛び掛かろうとした瞬間――。
ドンッ!!
晴樹が弾丸のようなスピードで路地に飛び出し、リーダー格の顔面に強烈な飛び蹴りを叩き込んだ。
男は悲鳴を上げる間もなく、数メートル吹き飛んでゴミ山に突っ込んだ。
「な、なんだテメェら!?」
「ひぃッ、こいつら、さっきアジトを潰した小鳥遊の……!」
恐慌状態に陥る半グレどもの中に、私も音もなく滑り込む。
絶対に素性を悟られないよう、極道の訓練で染み付いた無駄のない暗殺術ではなく、あえて大振りなヤンキー喧嘩の動きを混ぜながら、次々と急所を突いて男たちを無力化していく。
「す、すげぇ……」
「なんだあの金髪の姉ちゃん、めちゃくちゃ強ぇぞ……!」
背後で、樹や零たちがポカンと口を開けて私たちを見ている気配がした。当然だ。彼らは、目の前でえげつない暴力の嵐を巻き起こしている黒ずくめの男女が、いつも昼休みに一緒に笑っている『玲美たんと晴樹』だとは夢にも思っていない。
ものの数十秒で残党を全て沈めると、晴樹がわざとドスを効かせた低い声で樹たちに言い放った。
「……ここは俺たちの掃除の対象だ。巻き込まれたくねぇなら、ガキはさっさと帰って寝な」
「あ、アンタら、何者……」
「いいから行け!!」