檻の外へー極道なんて、大嫌いー

路地裏で蹲っていると、程なくして黒塗りの高級車が数台滑り込んできた。
降りてきたのは見知った下っ端の組員たちだった。彼らは手負いで動けない私を気遣う素振りすら見せず、ただの荷物を扱うように無言で車へと押し込んだ。
重苦しい空気が漂う本邸に到着すると、傷の手当てを許されることもなく、私はそのまま組長室へと引きずり込まれた。
分厚い絨毯が敷かれた広大な部屋には、何人かの直参幹部たちが壁際に立ち並んでいる。その中心、重厚なマホガニーのデスクの前に立っていたのは――絶対的な支配者、小鳥遊雅臣だ。
「……頭。申し訳、ありません。標的を、取り逃がしました」
床に手をつき、必死に声を絞り出す。お父さん、という甘えた呼び方は、とうの昔に禁じられていた。
報告が終わるか終わらないかのうちに、私の腹部に容赦のない蹴りがめり込んだ。
「ぐっ、あ……!」
「たかが半グレ数人を逃がしただと? 小鳥遊の看板を背負いながら、この無能が」
氷のように冷たい声と共に、雨霰と暴力が降り注ぐ。頬を張られ、床に倒れ伏したところを革靴で何度も蹴り上げられる。三日間の徹夜と死闘でボロボロになっていた私の体は、もはや防御の姿勢をとることすらできなかった。