【side 剛田】
俺は腹を抱えて笑っていた。
新入りの特務幹部、晴樹が意気揚々と開けた弁当箱の中身は、どう見ても産業廃棄物か何かだったからだ。
「おい晴樹! お前、姫様にこんな毒物食わせる気かよ! 虐待だろ!」
周りの野郎どももゲラゲラと笑い転げている。
無理もねぇ。俺たちの「姫」である小鳥遊玲美は、マジで天使みたいに可愛い。そんな姫に、炭みたいな卵焼きとバケモノみたいなタコさんウィンナーを食わせようってんだから、晴樹の野郎はいい度胸をしてる。
正直、姫はキレて弁当を突き返すか、泣き出すかだと思った。
彼女はいつも、俺たちが馬鹿騒ぎしていても、どこか遠くを見るような冷めた目をしているか、一歩引いた愛想笑いしか浮かべなかったからだ。
だが、姫は文句を言うどころか、静かに箸を伸ばし、その黒焦げのウィンナーを小さくかじった。
「……まぁ、食べられないことはないわね」
そして、ふわりと。
春の暖かな日差しの中で、彼女は本当に優しく、呆れたように微笑んだのだ。
ドクン。
柄にもなく、俺の心臓がバカみたいにデカい音を立てた。
風に揺れる艶やかな黒髪。いつもは張り詰めている細い肩が少しだけ緩み、晴樹を見つめる瞳には、隠しきれない温かな親愛の色が浮かんでいる。
(……なんだよ、それ)
息が止まりそうだった。
俺は今まで、喧嘩と単車のことしか頭になかった。女なんて面倒なだけだと思ってたし、姫のことも「飛龍の看板に相応しいすげぇ美人のマスコット」くらいにしか思っていなかったはずだ。
なのに、その飾らない、ただの一人の女の子としての無防備な笑顔を見た瞬間――俺の頭の中で、何かが完全にショートした。
俺は腹を抱えて笑っていた。
新入りの特務幹部、晴樹が意気揚々と開けた弁当箱の中身は、どう見ても産業廃棄物か何かだったからだ。
「おい晴樹! お前、姫様にこんな毒物食わせる気かよ! 虐待だろ!」
周りの野郎どももゲラゲラと笑い転げている。
無理もねぇ。俺たちの「姫」である小鳥遊玲美は、マジで天使みたいに可愛い。そんな姫に、炭みたいな卵焼きとバケモノみたいなタコさんウィンナーを食わせようってんだから、晴樹の野郎はいい度胸をしてる。
正直、姫はキレて弁当を突き返すか、泣き出すかだと思った。
彼女はいつも、俺たちが馬鹿騒ぎしていても、どこか遠くを見るような冷めた目をしているか、一歩引いた愛想笑いしか浮かべなかったからだ。
だが、姫は文句を言うどころか、静かに箸を伸ばし、その黒焦げのウィンナーを小さくかじった。
「……まぁ、食べられないことはないわね」
そして、ふわりと。
春の暖かな日差しの中で、彼女は本当に優しく、呆れたように微笑んだのだ。
ドクン。
柄にもなく、俺の心臓がバカみたいにデカい音を立てた。
風に揺れる艶やかな黒髪。いつもは張り詰めている細い肩が少しだけ緩み、晴樹を見つめる瞳には、隠しきれない温かな親愛の色が浮かんでいる。
(……なんだよ、それ)
息が止まりそうだった。
俺は今まで、喧嘩と単車のことしか頭になかった。女なんて面倒なだけだと思ってたし、姫のことも「飛龍の看板に相応しいすげぇ美人のマスコット」くらいにしか思っていなかったはずだ。
なのに、その飾らない、ただの一人の女の子としての無防備な笑顔を見た瞬間――俺の頭の中で、何かが完全にショートした。

