こいつがファッションやオシャレに興味を持たないのは、幼い頃から親父に「組の道具」として育てられ、女としての普通の幸せを教えられてこなかったからだ。
だが、せめてこのマンションにいる時くらいは、年相応のガキらしく、キラキラした服でも着て笑っていればいいものを。不器用な自分には、そんな本音を伝えることなど到底できず、口をついて出るのは悪態ばかりだ。
「今度、大樹の女にでも見繕わせて、まともな服を何着か送ってやる。黙ってそれ着とけ」
強引にそう言い捨ててリビングに戻ると、そこにはさらに俺の苛立ちを煽る光景が広がっていた。
「ぷはぁーっ。若、この部屋、眺めも良くて最高っすね」
いつの間にかソファに深く腰を下ろした大樹が、晴樹の缶ビールを勝手に開け、我が物顔でくつろいでやがった。
「……テメェ、人の部屋で何くつろいでんだ。殺すぞ」
「いやいや! 若の部屋チェックが終わるまで待機してただけっすよ!」
慌ててビールを置く大樹を冷たく見下ろしながら、俺はポケットから煙草を取り出そうとし――玲美の顔を見て、思い留まった。
相変わらず俺に怯えたような目をしているが、それでも本邸にいた頃よりは、ほんの少しだけ顔色が良い気がする。
(まあ、とりあえず生きてはいるか……)
俺は心の中で短く安堵の息を吐き、煙草をポケットの奥へと押し込んだ。
だが、せめてこのマンションにいる時くらいは、年相応のガキらしく、キラキラした服でも着て笑っていればいいものを。不器用な自分には、そんな本音を伝えることなど到底できず、口をついて出るのは悪態ばかりだ。
「今度、大樹の女にでも見繕わせて、まともな服を何着か送ってやる。黙ってそれ着とけ」
強引にそう言い捨ててリビングに戻ると、そこにはさらに俺の苛立ちを煽る光景が広がっていた。
「ぷはぁーっ。若、この部屋、眺めも良くて最高っすね」
いつの間にかソファに深く腰を下ろした大樹が、晴樹の缶ビールを勝手に開け、我が物顔でくつろいでやがった。
「……テメェ、人の部屋で何くつろいでんだ。殺すぞ」
「いやいや! 若の部屋チェックが終わるまで待機してただけっすよ!」
慌ててビールを置く大樹を冷たく見下ろしながら、俺はポケットから煙草を取り出そうとし――玲美の顔を見て、思い留まった。
相変わらず俺に怯えたような目をしているが、それでも本邸にいた頃よりは、ほんの少しだけ顔色が良い気がする。
(まあ、とりあえず生きてはいるか……)
俺は心の中で短く安堵の息を吐き、煙草をポケットの奥へと押し込んだ。

