檻の外へー極道なんて、大嫌いー

【side 魁】

「お前ら、突っ立ってねぇでさっさとどけ」
呆然と立ち尽くす玲美と晴樹を尻目に、俺は遠慮なく靴を脱いでリビングへと足を踏み入れた。



別に暇を持て余しているわけじゃない。シノギの合間に、大樹を連れてわざわざこんなところまで出向いてやったのは他でもない。玲美が一人暮らしという名の「休息」を、まともにこなせているか確認するためだ。
部屋の中をぐるりと見渡す。
真っ先に俺の目を引いたのは、生活感というものが微塵も感じられない、ピカピカのシステムキッチンだった。
「……チッ」
嫌な予感がして、俺は無言で大型冷蔵庫の扉を開け放った。
「あ、ちょっと……!」と玲美が後ろで声を上げたが、無視だ。
案の定、冷気とともに姿を現した庫内は、見事なまでにスッカラカンだった。
入っているのは、晴樹の野郎が持ち込んだであろう缶ビールとコーラが数本。それに、ミネラルウォーターのペットボトル。そして――玲美が昔から好んで飲んでいる、甘ったるいいちごミルクのパックが数本。
野菜も、肉も、手作りの惣菜も、何一つねぇ。