檻の外へー極道なんて、大嫌いー

店を出ると、次はキャバクラへ向かう。



今度は晴樹が中心だ。
店に入った瞬間、晴樹の整った顔立ちを目ざとく見つけたキャバ嬢たちが、嬌声を上げて彼に群がる。
「えっ、何この子! 超タイプなんだけど!」
「今日から指名していい!?」
さっきの私と同じ光景だ。晴樹は不快そうに顔を歪めながらも、慣れた手つきで彼女たちをいなし、店長室へと無理やり入り込んでいく。
店内が騒然とする中、またしても『小鳥遊』の名を出すと、店長は汗を拭いながら深々と頭を下げた。
路地裏の半グレ集団との接触も、同様だった。
湿ったゴミの匂いと、粗末なドラッグの臭気が漂う暗闇。
「おいおい、ガキが二人で何しに来た?」
そう笑った彼らも、私たちがマスクを外し、その下に隠された代紋(といわんばかりの威圧)を匂わせた瞬間、ヘラヘラした笑いを凍りつかせた。
「……ッ、小鳥遊の……!」
「わ、分かってます。今回分は用意してありますんで、勘弁してください……!」
彼らが差し出す汚れた札束を受け取る。
これでおしまい。私は深くため息をつき、隠していた痛みを噛み殺してバイクに跨った。
(今日も、誰かの人生を壊すための手伝いをした)
金とクスリを交換するだけの、中身のない夜。
晴樹は隣でバイクのエンジンをふかしている。彼は、今日もなぜか楽しそう。
ネオンの光が、私の金髪ウィッグを毒々しく照らしている。私は早く、この忌々しいマスクとウィッグを捨てて、熱いシャワーを浴びたいとだけ願っていた。